第一章 ガープス・ミスティックの世界観
昔は良かった・・・・・・。
たまにそんな思いにとらわれることがある。
子供のころは無邪気だった。
夢がある、生き生きとした時代だった。自分は夜になるとお化けにおびえて一人でトイレにも行けなかったが、それさえなければあの時代が一番幸せだったと思う。
スーパーマンは本当にいると思っていたし、科学が進めば死んだ人間も生き返らせることが出来るようになると思っていた。
望んで努力すれば、全ての夢はかなうと信じていた。
大人に近づくにつれて世界は色あせていった。
夜になってもお化けに怯えることはなくなったが、スーパーマンも、科学も、そして夢や努力も信じなくなった。
諦めて斜に構えることでおぼろげな満足感にひたり、たまに苛立っては「つまらない世の中をぶっ潰すため」周りにやつあたりした。自分以外はみんな愚かで怠惰なのだと信じていた。
あの頃を思い出すと笑い出したくなってしまう。
今の自分はその「つまらない世の中」をぶっ壊せる危険がどれ程転がっているかを知っているし、その「つまらない世の中」を守る為にどのくらいの犠牲が払われたかも知っている。
その価値についてもおおよそ分かったつもりだ。
スーパーマンはいる。人間を生き返らせることができるような技術も存在する。
・・・・・・その事実に最初は狂喜し、今は半ばうんざりもしている。日常を破壊しようと躍起になるそれらを遠ざける為にどれだけ血を流したことか。
望んで努力すれば、全ての夢はかなう。
しかし、現実に目にしてきたのは叶えてはならないイデアの悪夢。
昔は良かった・・・・・・。
日常に倦んだあの頃を懐かしく思うことがある。
今夜のように返り血に濡れた晩は特に。
行く手を遮るスーパーマンも蘇生術も、子供の日の夢は全てあのときの姿のまま。
夜に怯えて銃を手放せない自分ももちろんあのときの子供のまま。
1.冒険の舞台
近代設備をもつ高層ビルの狭間には妖(あやかし)が棲み、砕石場の一角がときとして秘密結社の祭壇と変わり、獣も寄らぬ樹海の奥には再び世に出るときを待つ古代の叡智が眠っている……。
「GURPS MYSTIC」が扱うのはそんな世界です。基本的な文明レベルは7(一部8)。しかし、ときとしてそんな平均的な分明水準を遥かに超える超技術が発掘されることがあります。さらにはそんな超技術を以ってしても抗いがたい人智を超えた存在が……「妖怪」をも凌駕するような存在すらが……この世界には確かに存在するのです。「妖怪」、「超技術」、「秘密結社」、そして「大いなる存在」これらはときとして人類、のみならず世界そのものにその恐るべき牙を剥くことがあります。
プレイヤー達は世界の秩序を維持する秘密結社の一員として、または神秘の力を追い求める修行者・探求者として、ときにはそんな世界のありようには無関心なトレジャー・ハンターとして、この世界を覆う力が織り成す冒険に身を投げ入れることになります。
また、ガープス・ミスティックの冒険は何も遺跡探索に限ることはありません。たとえば、生まれつき或いは偶発的に「ミスティック・アーツ(この世界独特の超常識的な力)」を習得した者達が、或る者は世界の覇権をこの手に握ろうと、或る者は自分が住む町が怪者に侵食されるのを防ごうと、そんな静かなる闘争もこのサプリメントでは表現できます。
ここでは例として桜山市の冒険を上げてみます。
例:人口(松山市と同じ位で)人の地方都市、桜山は静かな町です。小さいながらも高校と大学が一つずつあり、町は週末ともなれば学生たちで賑わいます。
しかし、そんな桜山市にもひそかな問題はあります。伸び悩む観光収入? 地元の暴力団の暗躍? 事故率の高い交通事情? いいえ、この町は近隣の年に比べて身元不明の遺体や行方不明の人間がちょっとだけ多いのです。ええ、明らかになってるものだけでも。
どうということのないありふれた地方都市、桜山。そこには既に魔の者が忍び寄っているのかもしれません。
2.世界の秘儀
次にミスティック世界的な独特の概念を説明します。
「ミスティック」の世界には「気」の概念が存在します。「気」の概念を説明するのは難しいですが、一般には「精神の働きを肉体に伝えるエネルギー。精神世界と物理世界を媒介するもの」と言われています。
「ミスティック」の世界では現在「霊気」と「妖気」の2種類が知られています。
霊気
現在では様々な意味に使われていますが「霊」の原義は「実体を持たない要素」という意味です。物理法則によって説明できないものはすなわち霊的なものであり、化学や物理学、生物学の発達していない古代中世においては人間の思考、感覚なども今よ
り多分に霊的なものであると思われていました。
なぜなら、仮に眼球を見たとしてもその働きの物的原理はにわかには信じがいものであり(この小さな球体の中に望遠鏡と同じ機能が備わっている? ご冗談を!)、それよりは「人間の肉体には神から与えられた霊的な力が備わっている」という説明の方が受け入れやすいものだったからです。
つまり、「霊」とは「何か」に付随した「物理的法則に起因しない働き」なのです。そして「霊気」とは決して目には見えず、「何か」に付随してその働きを変化させる力なのです。
妖気
一方、霊気と比べてより直接的に物理世界に作用するのが「妖気」です。この「妖気」は物理法則自体を強力に押し曲げます。「妖気」を与えられた「何か」はその「気」にふさわしい物理的形状に変化させられるのです。常に可視的である点、ここが「霊気」とは異なるところといえるでしょう。妖怪の姿がつねに想像的・個性的であることはこの「妖気」をもつがゆえと理解することも出来ます。
ゲーム的に「妖気」は妖術・妖力として扱われます。
3.アクター&アクトレス
ガープス・ミスティックにおいて物語の一方の主役である「敵」となりそうな者達を紹介していきます。GMはその他必要なキャラを設定してください
妖怪
妖怪の存在とその発生方法は「ガープス・妖魔夜行」を参照して下さい。妖怪はガープス・ミスティックの世界でも存在するのです! 彼らは基本的には中立でしょうが、中には人間に害する存在として生まれた者や人間に深い恨みを持つものも存在するでしょう。それらが、もし人間を実際に襲ったら? 彼らの持つ尋常ならざる火力と耐久力は人間たちをあっさり引き裂いてしまうでしょう!
古来より祟りをなすと恐れられた荒ぶる神や唯一神の敵対者である悪魔、人に害をなすという妖怪。それらは圧倒的な力と人間の常識を超えた能力でPC達に襲いかかって来るでしょう!
イデアの怪物
人の理想と想念、イデアはそれ自体は害でも敵でもありません。しかし、もしそれが人類を害するような想念の影響を強く受けたものなら? まして、そんなイデアを強く受けた生き物がいたなら? それはまさしくイデアの怪物と呼称されるにふさわしいものとなるでしょう。
「イデアの怪物」は妖怪に見られるような圧倒的な火力・耐久力に加えてミスティック・アーツとイデア体の体をも併せ持ちます。通常の物理攻撃で傷つけるのは困難きわまる上に人間の術者を遥かに上回る術の力量を備えています。自らの意志で自らと世界の在り様を自在に変革するまさに神とも言える存在です(とはいってもピンキリですが)。その由来は様々で、もともとは人間の術者であったものが変化したもの、なにかの拍子でミスティック・アーツを修得した妖怪、異界からの訪問者、いまだ知られざる闇の支配者……など、あらゆるものが考えられます。基本的にNPC専用です。
政府
政府はミスティック・アーツやアーティファクト(魔法のアイテム)を独占するため、ミスティックアーツを有するPCの身柄を拘束しようとします。その為、さまざまな罠をかけて法的に陥れ、自国にいる間執拗に追い掛け回すでしょう!
同じ能力者
能力者の最大の敵は同じ能力者です。なぜ彼らはPCと対立するのでしょうか? 前世からの因縁? 一つのアーティファクトを巡っての奪い合い? それとも其処に自分の属している組織とは違う人間がいるから? GMはさまざまな理由を考えてミスティック・アーツを使うもの同士の熾烈な争いを演出してください。
遺跡の番人
PCはアーティファクトを保護する為、またはそれを破壊するため、アーティファクトの眠る遺跡に潜ります。其処には様々な遺跡の番人(罠も含む!)が居ます。それは、果たして古代の超文明により作られた殺人機械なのか、それとも超科学による強化改造されたモンスターなのか、はたまた古代の魔術師の召還した強力なイデア体(一般には使い魔だとか契約悪魔とか呼ばれますが)なのか・・・・・・
しかし、彼らを倒せばアーティファクトはすぐ其処です!
裏組織
表には公表されない裏組織もPCを狙ってきます。もしくはその非合法な行為にPCやその知人が巻き込まれます。組織の構成員は非合法な兵器で武装していて一般人や警察では手も足も出ません! かくなる上はPCの能力で何とか脱出、余裕があれば組織を壊滅させるしかありません。